NY金(中心限月、日足)

↓クリックすると拡大します↓

先週のNY金(中心限月)は、3月米消費者物価指数(CPI)が前年同月比8.5%上昇となり、40年3ヶ月ぶりの高い伸びとなったことを受けて、「インフレヘッジ」として買い進められ、4月12日に3月25日以来の1950ドル超えとなりました。翌13日には1985.8ドルまで買い進められる場面も見られております。

とは言え、NY連銀のウィリアムズ総裁をはじめ、先週も多くのFRB高官が5月のFOMC(米連邦公開市場委員会)での0.50%の利上げを主張。FRBのタカ派姿勢が一段と意識され、米長期金利が上昇しているため、上値は抑えられた様です。

ウクライナ情勢は、ロシアのプーチン大統領がウクライナ侵攻について、「最初に設定された目的が完遂されるまで軍事作戦を継続する」と発言。一方、ウクライナ軍は、南東部の都市マリウポリで抵抗を続け、ロシア側による最後通告を拒否。ウクライナ側は守備隊が壊滅すれば停戦交渉を打ち切る可能性を示唆するなど、停戦交渉の機運が後退しつつあります。

5月9日の戦勝記念日までに何らかの成果が欲しいプーチン政権は、ウクライナでの作戦を統括する司令官として、ロシアが軍事介入したシリアでの作戦を指揮したとされるドボルニコフ司令官を新たに任命するなど、近く行われる東部への総攻撃に向けた準備を始めている模様。再び首都キーウ(キエフ)を攻撃することも辞さない姿勢を示すなど、戦闘激化への懸念が拡がっており、改めて「有事の金」が意識され始めている様です。

また、3月米消費者物価指数(CPI)は、変動の激しいエネルギー・食品を除くコア指数が前月比0.3%上昇に留まり、前月(0.5%)から鈍化したため、市場の一部でインフレの「ピークアウト」観測が出始めているものの、引き続き米国のインフレ率は記録的な高水準にとどまっており、「インフレヘッジ」としての金買いもサポート要因になっている模様。

仮に、今後インフレが沈静化に向かった場合、それはFRBの利上げペースの鈍化につながる可能性が高く、金にとってマイナス材料とはなりづらい様に見えます。

NY金(中心限月、日足)と米インフレ率

↓クリックすると拡大します↓

テクニカル的には、1900-1950ドルのレンジから上放れた形となっているだけに、3月8日の高値2078.8ドルから3月16日の安値1895.2ドルの下げ幅をフィボナッチ・リトレースメントで見た場合の半値戻し水準1983.6ドル、次いで節目の2000ドル超えを試す展開となって行くか注目されます。

なお、今週は4月20日にベージュブック(米地区連銀経済報告)が公表されます。また、4月23日から始まるFOMCのブラックアウトを前にFRB高官の発言が相次ぎます。インフレへの警戒が強まる中、再び波乱要因になる可能性がありそうです。また、週末にはPMI(購買担当者景況指数)速報値の発表が予定されております。

SPDRゴールド・シェアの金保有残高

↓クリックすると拡大します↓

最後に、世界最大の金ETFである「SPDRゴールド・シェア」の金保有残高は4月15日時点で1099.50トン。前週比9.00トン増となり、3週ぶりに増加に転じております。なお、4月13日に1104.42トンまで増加し、昨年2月以来の1100トン台を回復する場面も見られております。世界第2位の金ETFである「iシェアーズ・ゴールド・トラスト」は同1.42トン増の517.53トンでした。

 

※豊トラスティ証券株式会社が提供する投資情報は、あくまで情報提供を目的としたものです。銘柄の選択、売買価格など投資にかかる最終決定は弊社の重要事項説明書を十分にお読み頂き、投資家自身の判断でなさる様にお願い致します。本資料作成につきましては細心の注意を払っておりますが、その正確性については保証するものではなく、万一その内容に誤りがあった場合、その誤りに基づく障害については当社は一切の責任を負いかねます。