NY金(中心限月、日足)

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先週のNY金(中心限月)は、1900ドルを挟んだ揉み合いが続いていたものの、FOMC(米連邦公開市場委員会)が近づく中、FRBがインフレを抑制のために積極的な金融引き締めを行うとの警戒感が強まり、5月2日に急落。翌3日には一時1849.7ドルまで下げて、2月15日以来の1850ドル割れとなる場面も見られたものの、終値では1850ドルを維持しております。

FRBは市場の想定通りに0.50%の大幅な利上げと、新型コロナウイルス危機対応の量的緩和策で膨張した保有資産を圧縮する「量的引き締め(QT)」も決定。ただ、声明公表後の記者会見で、パウエル議長が「0.75%の利上げは積極的に検討されていない」と発言したことで、FRBによる急速な金融引き締めに対する警戒感が後退。見直し買いが入った様で、5月6日に一時1910.7ドルまで買い進められ、1900ドル台を回復する場面も見られております。

ただ、米長期金利が一時3.11%を付け、2018年11月以来の高水準となるなど、市場では6月のFOMCで0.75%の利上げを見込む向きは依然多く、金利を生まない資産である金を圧迫したため、高値を維持出来ず。長い上ひげを引いております。

米雇用統計(平均時給)

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5月6日に発表された4月米雇用統計(季節調整済み)によると、景気動向を敏感に反映する非農業部門就業者数は前月から42.8万人増となり、増加幅は前月(改定値、42.8万人)と同じで、市場予想(39.1万人)を上回りました。失業率も3.6%と、前月から横ばいで(市場予想は3.5%)、堅調な内容となりました。

注目された平均時給は前年同月比5.5%増と、前月(5.6%増)からやや低下。前月比でも0.3%増に留まり、前月(0.5%増)を下回るなど、やや減速感もみられております。ただ、細かく見てみると、小売業や公益など一部の業種のみ下落しており、短期的なブレに過ぎないとの見方もある模様。また、労働参加率は62.2%と、前月から0.2ポイント低下。そのため、労働需給のひっ迫による賃金上昇は続くとの見方も根強い様です。

目先は上値の重い展開が続きそうですが、FRBによる急速な金融引き締めに対する警戒感が払拭されない中、米株価が崩れており、安値は「安全資産」として買い拾われそうです。また、FRBの積極的な利上げ姿勢は「インフレ」への警戒感への裏返しであり、引き続き「インフレヘッジ」としても意識され易いのではないでしょうか。

テクニカル的には、100日平均線を挟んだ揉み合いが続きそうですが、心理的節目の1850ドルを維持出来るかが焦点となりそうです。割り込んでくる様ですと、昨年8月9日の安値1677.9ドルから今年3月8日の高値2078.8ドル上げ幅をフィボナッチ・リトレースメントで見た場合の61.8%押し水準1831.0ドルや200日平均線辺りまで下げることも想定されます。

なお、今週は5月9日のロシア戦勝記念日でのプーチン大統領の演説や、5月11日発表の4月米消費者物価指数(CPI)に注目が集まりそうです。

SPDRゴールド・シェアの金保有残高

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最後に、世界最大の金ETFである「SPDRゴールド・シェア」の金保有残高は5月6日時点で1082.00トン。前週末比12.56トン減少と、2週連続で減少。減少幅は昨年3月26日の週(15.15トン減少)以来の大きさとなりました。

一方、世界第2位の金ETFである「iシェアーズ・ゴールド・トラスト」は同0.42トン増加の520.73トンで、こちらは4週連続で増加しております。

なお、今週15日は四半期ごとに米証券取引委員会(SEC)に提出が義務付けられている保有有価証券報告書の提出期限となります。レイ・ダリオ氏などの動向が注目されそうです。

 

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