NY金(中心限月、日足)
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先週のNY金(中心限月)は、100日平均線がレジスタンスとして意識され始める中、5月10日に心理的節目の1850ドルを割り込み、5月12日には200日平均線割れとなりました。翌13日には一時1797.2ドルまで下げて、2月4日以来約3ヶ月半ぶりに1800ドル割れとなる場面も見られております。
FRBによる急速な金融引き締めが米景気を冷やすとの見方が再燃する中、米国株が連日で年初来安値を更新。投資家がリスク回避のため安全資産のドル買いに動く中、ドル指数は20年ぶりの高値を更新。相対的にドル建て金価格に割高感が生じております。世界最大の金ETF(上場投資信託)であるSPDRゴールドの金保有残高減少が続いている様に、換金売りも金相場を圧迫している模様。
今月初めのFOMC(米連邦公開市場委員会)通過後、米長期金利の上昇は鈍化し始めているものの、FRBがインフレ抑制のために、今後も積極的な金融引き締めを続けるとの見方は依然多く、金利を生まない資産である金の上値を抑えるとの見方が拡がっております。
先週末は1800ドル割れに対する抵抗が見られたものの、このまま200日平均線を上回れない様だと、終値でも1800ドルを割込み、短期的に年初来安値1778.8ドルに接近する可能性もありそうです。
とは言え、ロシアによるウクライナ侵攻が長期化する中、北欧のフィンランドとスウェーデンは北大西洋条約機構(NATO)加盟への動きを加速させております。その動きに対して、ロシアが対抗措置を示唆するなど、欧州で新たな火種となる恐れが出始めております。また、世界景気の減速懸念が強まる中、安全資産としての性質を考えると、下落が続く資産セクターの中で金は一番早く戻りを入れそうで、仮に1800ドルを割り込んでも短期に留まりそうです。
なお、今週は米中で鉱工業生産と小売売上高が発表されます。中国では新型コロナウイルスの感染拡大が止まらずに、上海などでロックダウン(都市封鎖)が続いており、市場では経済指標の下振れを予想しておりますが、市場予想以上に悪化していると、投資家のリスクオフの動きが再度強まる可能性がありそうです。
SPDRゴールド・シェアの金保有残高
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最後に、世界最大の金ETFである「SPDRゴールド・シェア」の金保有残高は5月13日時点で1055.89トン。前週末比26.11トン減少と、3週連続で減少。減少幅は昨年2月26日の週(34.11トン減少)以来の大きさとなりました。4月19日の直近ピーク1106.74トンから50.85トン減少している。
また、世界第2位の金ETFである「iシェアーズ・ゴールド・トラスト」も同1.89トン減少の518.84トンで、5週ぶりに減少に転じました。
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