中国GDPと政府目標
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中国の国会に当たる第14期全国人民代表大会(全人代)第2回会議が、北京の人民大会堂で開幕。李強首相にとって初の政府活動報告で、今年の経済成長率目標は「5%程度」とし、前年と同水準に据え置いております。2023年の経済成長率は5.2%と、目標の「5%前後」を達成。ただ、「ゼロコロナ」政策で景気が低迷した反動増が大きかったと見られております。不動産不況や消費低迷が続く中、李氏は各種の数値目標について「達成するのは容易なことではないため、的確な政策を講じる必要がある」と強調。今年も目標を達成するために、積極財政を強める方針を示しております。
また、経済安全保障の強化に向けて、「サプライチェーン(供給網)の強靱性を高める」と指摘。一方で、「外資誘致に一層力を入れる」とし、対外開放をアピールしております。
財政出動の規模の目安となる財政赤字の対GDP(国内総生産)比率は3%に設定した。ただ、2023年も3%に設定したものの、新規国債の発行を1兆元増やし、最終的に3.8%前後へ上昇しております。なお、地方政府が新たに発行するインフラ債(専項債)の枠は3兆9000億元と、2023年から1000億元増やす方針が示されました。
物価目標は「3%程度」に設定され、2023年と変わらず。雇用関連では、都市部新規雇用者数を「1200万人以上」とし、2023年の「1200万人前後」からやや表現を引き上げております。都市部の失業率は2023年と変わらずの「5.5%前後」に」設定しております。
中国の経済目標
2023年 | 2024年 | |
経済成長率 | 5%前後 | 5%前後 |
財政赤字(対GDP比) | 3% | 3% |
インフラ債の新規発行枠 | 3兆8000億元 | 3兆9000億元 |
都市部新規雇用者数 | 1200万人前後 | 1200万以上 |
都市部失業率 | 5.5%前後 | 5.5%前後 |
インフレ率 | 3%前後 | 3%前後 |
国防予算 | 1兆5537億元 | 1兆6655億元 |
※豊トラスティ証券作成
なお、中国国務院(政府)は、2024年の国防予算(中央政府分)が前年比7.2%増の1兆6655億元(約34兆8000億円)だと発表しました。伸び率は3年連続で7%を超えるなど、景気低迷が続く状況でも軍備拡大を優先する姿勢を鮮明にしております。
例年は閉幕後には首相の記者会見が行われてきましたが、今年は取り止めが発表されました。首相の権限が縮小していることや、低迷する経済に関連した質問への回答を避ける狙いがあるとみられております。
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