米国の全輸入品に対する平均関税率
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NYの国際貿易裁判所は5月28日に、トランプ米大統領が安全保障上の脅威に対処する権限を定めた国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づいて発動した関税について、大統領の権限を越えたものだとして差し止める決定を下しました。トランプ米政権に対して、10日以内に関税を停止するための行政手続きを取るよう求めております。
4月に公表した相互関税などが対象となります。トランプ氏が不法移民や薬物の流入を理由に「国家非常事態」を宣言し、2月に命じたカナダやメキシコへの25%、中国に対する10%の関税措置もIEEPAに基づいており、裁判所は高関税政策の第1弾となったこれらの措置に遡り、関税を差し止める決定を下しております。
裁判所は、相互関税などに関する大統領令は「IEEPAによって大統領に認められた権限を越えている」と明言。議会は大統領に関税の権限を無制限に移譲していないとしております。判断は全会一致。ロイター通信によると、トランプ米政権は上訴した模様。NYやアリゾナ、ミネソタなど計12州がトランプ米政権の打ち出す高関税政策は違法だとして、国際貿易裁に提訴しておりました。
◆マスク氏、トランプ米政権離脱
トランプ米政権で「政府効率化省(DOGE)」を実質的に率いる実業家イーロン・マスク氏は5月28日に、政府特別職員の役職を離れる時期が近づいていると、X(旧ツイッター)に投稿。その上で、「トランプ米大統領に感謝する。DOGEの使命は今後さらに強化される」と述べております。マスク氏の肩書である「特別政府職員」は年間の勤務が130日以内となっており、市場では5月下旬に期限を迎えるとみられておりました。
マスク氏はCBSテレビとのインタビューで、先週下院で可決されたトランプ米大統領が目指す大型減税を柱とする関連法案について、財政赤字の拡大につながる巨額の歳出に「失望した」と批判しておりました。
マスク氏は「率直に言って、巨額の歳出法案にはがっかりした。この法案は財政赤字を減少させるどころか増加させることになり、DOGEのチームが行う作業を台無しにする」と強調。多くの公約を詰め込んだ法案は「1つの大きく美しい法案」と名付けられ、トランプ氏は可決後に「我が国の歴史上最も重要な立法措置の一つ」と称賛しましたが、マスク氏は「法案は大きいか美しいかのどちらかだ」と皮肉っております。
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