米ドル・円

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日銀は、金融政策決定会合で大規模な金融緩和策の維持を決定しました。マイナス金利政策の解除は見送り、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)や上場投資信託(ETF)買い入れといった現行の大規模金融緩和策の維持を決定しました。

声明で、景気について「緩やかに回復している」との従来の判断を維持。企業収益や業況感は「改善している」とし、設備投資についても「緩やかな増加傾向にある」との見方を示しました。雇用・所得環境も緩やかに改善し、個人消費も物価高の影響はあるものの緩やかな増加が続いているとしております。

足元の物価状況は「プラス幅を縮小しているものの、輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の影響から、足元は3%程度となっている」とし、予想物価上昇率も緩やかに上昇していると判断。ただ、今後のリスク要因について「海外の経済・物価動向、資源価格の動向、企業の賃金・価格設定行動など、経済・物価を巡る不確実性はきわめて高い」と指摘しました。

会合では、2%の物価上昇目標の持続的・安定的な実現のため、賃金と物価が共に上昇する好循環の達成度合いを点検した模様。今後は、来年の春闘での賃上げ動向をにらみながら、マイナス金利政策解除など大規模緩和策の「出口」時期を慎重に見極めると見られております。

日銀は7月と10月の会合で、長短金利操作の運用を柔軟化する政策修正を実施し、出口に向け事実上の地ならしを進めて来ました。日銀が12月13日に発表した12月全国企業短期経済観測調査(短観)では、幅広い業種で景況感が改善したため、来年の春闘での賃上げ継続への期待感が出ております。一方で、物価高に賃金の伸びが追い付かない状況が続き、個人消費に弱さが出始めております。

また、植田日銀総裁が12月7日に「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる」と発言したことで、海外勢を中心に市場の一部でマイナス金利の早期解除観測が出ておりましたが、3時30分からの会見で、植田日銀総裁がマイナス金利解除の時期について、どこまで言及するか注目されます。

なお、米ドル円は142円台半ばで推移していたものの、声明公表を受けて143円台後半まで円安が進んでおります。

 

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