FOMCメンバーの金利見通し
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FRBは前日よりFOMC(米連邦公開市場委員会)を開催中、明日未明3時00分に声明を発表し、その後3時30分からパウエルFRB議長が記者会見を行う予定となっております。
CMEが公表している米金利先物の値動きからFOMCごとの政策金利を予想する「FedWatch(フェドウォッチ)」(9月17日時点)によると、9月のFOMCでFRBが0.25%の利下げを行うとの見方は35%、0.50%の利下げを行うとの見方は65%となっております。
また、12月のFOMCで4.00-4.25%まで政策金利を引き下げるとの見方は42.2%となっており、仮に9月に0.25%の利下げを行った場合、11月と12月に通常の倍の0.50%の利下げを行うとの見方が強まっております。
市場では今会合で2020年3月以来、4年半ぶりに利下げに踏み切るとの見方が大勢となっているだけに、市場の焦点は利下げ幅となりそうです。最近の米経済指標の結果を受けて、市場では通常幅の0.25%の利下げを予想する向きが多くなっていたものの、先週末に米欧の大手メディアが0.50%の大幅利下げ観測を報じたほか、NY連銀のダドリー前総裁が0.50%の利下げを実施する強い論拠があると発言したことを受けて、通常の倍の0.50%の利下げを予想する向きが再度多くなってきております。
FedWatch(フェドウォッチ)
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8月に開催された「ジャクソンホール会議」で、パウエルFRB議長は雇用情勢の一段の悪化を「望みも歓迎もしない」と発言。FRBの金融政策運営の軸足がインフレ退治から労働市場の下支えに移行したとの見方が拡がる中、8月米雇用統計は失業率が4.2%と、前月から0.1ポイント改善(市場予想は4.2%)した一方、景気動向を敏感に反映する非農業部門就業者数は前月比14.2万人増と、前月(改定値、8.9万人増)から大幅に増加したものの市場予想(16.0万人増)を下回りました。また、FRBが重視する3ヶ月平均は11.6万人増と、5ヶ月連続で鈍化。コロナ禍前の2015~2019年の平均(19万人)を下回る水準にまで下がってきたことから、労働市場が一段と減速する前に大幅利下げに踏み切るとの見方が拡がっております。
とは言え、就業者数は長期的な安定成長の目安とされる10万人程度の水準は依然上回って推移。また、昨晩発表された8月米小売売上高は前月比0.1%増と、市場予想(0.2%減)を上回る内容。米経済の大半を占める個人消費は依然底堅さを維持しており、緩やかな利下げで様子を見るとの見方も根強いため、今会合は「ライブ会合」になりそうです。
0.50%の利下げに踏み切れば、投資家のリスクオン姿勢が強まる可能性もありそうですが、その一方でFRBが市場の想定以上に米経済が景気後退(リセッション)に陥ることを危惧しているとの懸念が強まることも考えられます。
0.25%の利下げとなった場合も、大幅利下げに踏み切らかなった理由が求められそうで、声明公表後に会見するパウエルFRB議長の会話力が求められます。
また、今会合はFOMCメンバーの金利見通しである「ドットチャート」が公表されます。前回6月時点では、2024年の利下げ回数の中央値は1回でした。市場では残りの会合全てで利下げを想定しておりますが、回数がどれだけ増えるかが焦点となりそうです。また、来年以降の中長期的な利下げの見通しも注目されます。
最後に、「サームの法則」と呼ばれる経験則の提唱で知られる元FRBエコノミストで経済学者のクローディア・サーム氏は、9月17日に開催されたロイター・グローバル・マーケッツ・フォーラムで、「FRBが今回の会合で取る道筋は、データに依存するという原則に忠実に従い、0.50%の利下げとなる可能性が高い」と指摘。「労働市場に関するデータはいずれも一つの方向を向いており、良いものではなかった。FRBは二重の責務のうち、雇用最大化を強く後押ししている」と述べております。
なお、「サームの法則」に基づくと、7月米失業率が4.3%となったことで、景気後退入りが示唆されましたが、サーム氏は「サームの法則」は現在の異常な経済サイクルを考慮に入れていないとし、米国は景気後退に陥っていないとしております。
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