米消費者物価指数

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米労働省が1月15日に発表した昨年12月米消費者物価指数(CPI)は、前年同月比2.9%上昇。伸び率は前月(2.7%上昇)を上回り、3ヶ月連続で加速(市場予想は2.9%上昇)。一方、変動の激しい食品とエネルギーを除いたコア指数は同3.2%上昇と、伸び率は前月(3.3%上昇)からやや鈍化しました(市場予想は3.3%上昇)。

瞬間風速を示す前月比では全体は0.4%上昇(前月は0.3%上昇)、コア指数は0.2%上昇(前月は0.3%上昇)。米景気が底堅く推移する中、インフレ率は下げ渋っております。

 

・昨年12月米期待インフレ、3.00%に上昇

NY連銀が1月13日に発表した昨年12月米消費者調査によると、1年先の期待インフレ率は3.00%と、2ヶ月連続で上昇(前月は2.97%)。共和党のトランプ次期米大統領の就任を控える中、同氏が掲げる高関税政策や減税の恒久化などがインフレ再燃につながるとの懸念を反映したとみられております。3年先も2.97%に上昇(前月は2.57%)。

 

・ベージュブック:米経済「緩やかに拡大」

FRBは1月15日にベージュブック(全米12地区連銀景況報告)を公表。経済活動が2024年末、全体的に「小幅から緩やかに」拡大したとの見解が示されました。景況判断は昨年11月の「若干上向き」から上方修正されております。

 

・FRBのバー副議長が辞任

FRBのバー副議長(金融規制担当)は1月6日に、2月28日に副議長職から辞任すると発表しました。FRB理事にはとどまる模様。バー氏は、規制強化の推進で中心的な役割を担っておりました。トランプ次期米政権は規制緩和を志向しており、米国の金融規制の方向性が大きく転換するとの見方が出ております。

 

・FRB高官の発言

・FRBのボウマン理事は1月9日の講演で、昨年12月のFOMCで0.25%利下げを支持したことについて、「私の見方では、今回の利下げ局面で最後の引き下げとなるためだ」と述べ、次回会合以降は利下げ停止が望ましいとの考えを事実上示唆しました。

・FRBのウォラー理事は1月8日の講演で、米国のインフレ率が2%の目標に向かって低下し続けるとの見通しを堅持。その上で「一段の利下げが妥当」と明言。また、トランプ次期政権の関税引き上げについて、「今後1年間で新たなインフレ上振れ圧力をもたらす可能性がある」と指摘。ただ、「私の予想通り、関税がインフレに大幅に響いたり、持続的に響いたりしなければ、妥当な金融政策の見方に影響する見込みはない」と述べております。

講演後の質疑応答では、トランプ次期米政権による関税引き上げが厳しいものとはならないと予想した上で、短期的にはインフレへの影響はそれほどないとのべております。

・FRBのクック理事は1月6日の講演で、労働市場やインフレが想定以上に強いことを踏まえ、一段の利下げを「より慎重に進めることができる」と明言しました。

・FRBのクグラー理事は1月3日に、昨年末のインフレ加速が長期的なものか、または労働市場の強固さが続くか時間をかけて確認するため、金融緩和ペースを一層落とす可能性があると指摘しました。

・NY連銀のウィリアムズ総裁は1月15日の講演で、FRBが掲げるインフレ率2%目標について、「安定的な達成にはもう少し時間が掛る」との認識を示しました。住居費の鈍化ペースが他の分野よりも遅れている状況を踏まえたとしております。

・NY連銀のウィリアムズ総裁は1月14日の講演で、経済回復を巡り「不均衡が生じている」との認識を示した。住宅需要が供給を大幅に上回り、コスト高を招いていることや地域経済に影響が出ていることを問題点に挙げた。

・シカゴ連銀のグールズビー総裁は1月15日に、インフレ率は依然としてFRBの2%目標に向けて前進していると確信しており、特に住宅関連インフレの最近の緩和に勇気づけられると述べました。また、2025年の米経済のソフトランディング(軟着陸)継続に楽観的であるとしております。

・リッチモンド連銀のバーキン総裁は1月15日に、昨年12月米消費者物価指数が物価上昇圧力の緩和継続を示唆したとし、「インフレは目標に向け鈍化している」という認識を示しました。

・フィラデルフィア連銀のハーカー総裁は1月9日の講演で、インフレには上振れリスクがあるとの見解を明らかにしました。一方で、FRBの金融政策に関しては、依然として利下げを見込んでいると言明。ただ、講演後の質疑応答で、インフレが直近で上振れしていることなどを踏まえ、動向を見極めるため「利下げを少し休止するのが妥当だ」との見解を明らかにし、1月のFOMCで、金利据え置きを支持する可能性を示唆しております。

・ボストン連銀のコリンズ総裁は1月9日の講演で、トランプ次期米政権の政策による影響など先行き不透明感が強いことに触れ、FRBの政策金利が景気に中立的な水準に近づいていることを踏まえれば、政策運営で「慎重なアプローチ」が求められると述べました。インフレ鈍化の進展がほとんど見られないなら、「現行金利で長期の据え置き」が妥当との考えを明らかにしております。

・カンザスシティー連銀のシュミッド総裁は1月9日の講演で、FRBの政策金利は「長期的な水準に極めて近い可能性がある」との見方を示し、この先の利下げについて「緩やかかつ、データの基調の持続的な変化にのみ対応して調整することが望ましい」と述べております。

 

 

 

 

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