◆FRB議長、次の動き「利上げでない」

FRBのパウエル議長は5月14日に、オランダ・アムステルダムでパネル討論に参加し、今の政策金利は景気を冷ます効果があるとし、「次の動きが利上げとは思わない」と明言。金利を現行水準で維持し続ける「可能性がより高い」と述べました。

パウエル氏は「1-3月期の物価統計は予想より高かった。忍耐強く、景気抑制的な政策を作用させる必要がある」と発言。FRBの政策金利は現在、年5.25~5.50%と、2001年以来約23年ぶりの高水準にあります。パウエル氏は政策効果が出て、インフレを押し下げるまで「予想よりも長くかかるかもしれない」と言及。ただ、インフレ率が目標の2%へ低下することに「自信がある」と強調した。一方で、根強いインフレ圧力を示す最近の指標を受け、インフレ鈍化が進むとの「確信は以前ほど強くない」としました。

米経済に関しては、「非常に良好だ」と指摘。増加した移民が人手不足状態にある労働市場に参入すると共に、消費を増やし、成長を押し上げている側面があると分析しております。

◆FRB高官の発言

・FRBのボウマン理事は5月10日の講演で、金融政策が短期的には銀行システムを圧迫しかねないリスクを認めた一方で、金融政策はあくまでもインフレ抑制を目指すことが「最も重要」と明言しました。

・FRBのジェファーソン副議長は5月13日に、講演後の質疑応答で、インフレ率の低下が進まないことに懸念を表明。その上で、インフレ鈍化進展が確認されるまで、政策金利を現行水準で維持することが適切との見解を示唆しました。

・ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は5月15日のイベントで、米経済の需要の強さを認めました。基調的なインフレの動向を見極めるまで、FRBは政策金利を現行水準で「より長期に、しばらくは維持する必要がある」と述べました。

・クリーブランド連銀のメスター総裁は、5月14日に公表された米紙ウォール・ストリート・ジャーナルとのインタビューで、インフレの鈍化停滞もしくは再燃を結論付けるのは「時期尚早だ」との見方を示しました。

・アトランタ連銀のボスティック総裁は5月10日にロイター通信とのインタビューで、インフレ率の低下が緩やかであっても、FRBは年内に利下げする公算が大きいとの見方を示しました。利下げの時期と幅は不透明としております。

・シカゴ連銀のグールズビー総裁は5月10日のイベントで、5月ミシガン大米消費者調査で1年先の期待インフレ率が3.5%に上昇したことに関し、特に問題視しない考えを示しました。グールズビー氏は「重要なのは長期的なインフレ期待だ」と強調しております。

・ダラス連銀のローガン総裁は5月10日のイベントで、根強いインフレ圧力を踏まえれば、「利下げを検討するのは時期尚早だ」と明言しました。

・サンフランシスコ連銀のデイリー総裁は5月9日に、今後数ヶ月の米インフレの動向について「相当な」不確実性があるとしながらも、依然として物価圧力は緩和し続けているとの認識を示しております。

 

 

 

 

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