トランプ米大統領は7月7日にSNSで、貿易相手国に8月1日から適用される新たな関税率の通知を行い、日本に対しては25%の関税を課すと表明。鉄鋼・アルミニウムや自動車など分野別に設定している関税とは別に課すとしております。また、相互関税の上乗せ分の停止期限を7月9日から8月1日に延期する大統領令に署名しております。
日本に対する相互関税は一律の10%に上乗せ分を合わせて24%としてきたものの、これを上回る水準に設定。現在は上乗せ分が停止されており、10%の基本税率のみの適用となっております。日本は関税措置の見直しを求めて交渉を続けてきたものの、改めて高関税を突き付けられた形となっております。
関税率が明らかになったのは韓国25%、南アフリカ30%、タイ36%、ミャンマー40%など計14ヶ国で、4月発表の相互関税率から引き上げられたのは日本とマレーシア2ヶ国のみ。引き下げられたのは8ヶ国でした。
書簡はいずれも各国首脳らに宛てた英文2ページの文書。関税率は国ごとに異なるものの、他の記述は宛先を除き同じ内容でした。なお、今後もSNSで発表するとしております。
トランプ氏は7月1日に、日本について「30%か35%、あるいは我々が決める数字を払ってもらう」と述べていました。トランプ氏は石破首相宛ての書簡で、自動車や鉄鋼・アルミニウム製品などの分野別関税と、今回の25%の関税は別の扱いにするとしました。「貿易赤字は米国の経済、国家安全保障への大きな脅威だ」と強調。現状の2国間の貿易関係は「相互主義からはほど遠い」と主張し、「25%という数字では、貴国との貿易の不均衡を是正するにはほど遠いことを理解してほしい」と不満を表明し、米国内への生産移転を求めております。
その上で、関税や非関税障壁などを見直せば「この書簡の内容を調整することも検討する」とし、税率の引き下げに向けて、交渉の余地があることを示唆。「数週間以内に合意するためあらゆる手を尽くす」としております。
トランプ米政権は、これまでに英国とベトナムの2ヶ国と貿易協定で合意。欧州連合(EU)も週内の暫定合意を目指し、米国と詰めの交渉を進めている模様。インドとの交渉も合意に近づいていると報じられております。また、中国に対しては、8月12日まで相互関税の上乗せ分が停止されております。
◆石破首相「誠に遺憾」
政府は7月8日に、トランプ米大統領が日本からの輸入品に対して、8月から25%の関税を課すと表明したことを受けて、総合対策本部を首相官邸で開きました。石破首相は「誠に遺憾だ」と強調。見直しに向けた協議継続を関係閣僚に指示しております。
首相は、トランプ氏が日本への30%台の関税を示唆していたことに触れ、「事実上据え置きで、かつ協議の期限を延長するものだ」と指摘。合意に至っていないのは「安易な妥協を避け、守るべきものは守るべく厳しい協議を続けてきたからだ」と述べております。米国側から「日本側の対応次第で内容を見直し得る」と協議継続の提案があったことも明かしました。
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