米下院は12月20日に、共和党が提出したつなぎ予算延長法案を賛成多数で可決しました。上院でも可決され、バイデン米大統領が法案に署名し、同法は成立。クリスマス休暇を控えた米社会を混乱させかねなかった政府機関の一部閉鎖は瀬戸際で回避されております。
新法案はつなぎ予算を来年3月半ばまで延長すると共に、大型ハリケーン被害への支援などを盛り込んだ内容。12月19日の採決で共和党からの「造反」が相次ぎ、民主党も賛成出来ない要因だった「債務上限(連邦政府の借入限度額)」の効力停止延長は外されております。
民主、共和両党は、つなぎ予算延長法案で一旦は合意したものの、トランプ次期米大統領が債務上限を引き上げるなどの措置を含めるよう主張。トランプ氏に近いジョンソン下院議長は12月19日に、超党派合意を破棄し、債務上限の効力停止延長を盛り込んだ法案を単独で提出。しかし、下院で債務膨張を懸念する共和党保守強硬派を中心に同党の38議員が反対し、法案は否決。政府閉鎖の恐れが強まっておりました。
ただ、債務上限の効力停止延長が外されたことにより、2025年1月2日以降、債務上限が復活する見込み。米国債の元利払いが出来なくなると見られる、2025年半ば頃までに上限を引き上げることが出来なければ、史上初の債務不履行(デフォルト)に陥る可能性があります。
民主、共和両党がいったん合意した案を覆す形となり、トランプ氏の議会への影響力が改めて示された一方で、債務上限の撤廃を含む新たな案は共和党内からの造反で否決され、完全に共和党を把握しきれていないことも垣間見える動きとなりました。なお、ワシントン・ポスト紙電子版は「(債務上限問題で)トランプ氏が共和党全体を意のままに動かすことへの限界を浮き彫りにした」と指摘しております。
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