NY白金(中心限月、日足)
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欧州の貴金属業界団体のロンドン・プラチナ・パラジウム・マーケット(LPP)は4月8日に、ウクライナ情勢を受けて、優良精錬業者の認定リストを見直し、ロシア精錬業者2社との取引を停止すると発表しました。実施は即日。同2社が生産した白金とパラジウムは認定品として同市場に供給出来なくなりました。世界の生産量(2020年)のうち、白金は約10%、パラジウムは38%がロシア産であるため、供給逼迫懸念が再燃し、白金族(PSM)が買われております。
発表を受けて、先週末のNY白金(中心限月)は、一時988.7ドルまで買い進められるなど、前営業日比17.60ドル高の975.60ドルで終了。NYパラジウム(中心限月)は同197.00ドル高の2420.10ドルで終了。一時2465.00ドルまで買い進められる場面も見られております。
白金とパラジウム 生産量の割合(2020年)
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先週のNY白金は、4月7日に941.4ドルまで下げる場面も見られるなど、軟調な地合いとなりました。ロシアによるウクライナ軍事侵攻が長期化している影響でサプライチェーンが混乱し、欧州の自動車メーカーが減産を余儀なくされていることに加えて、中
国・上海のロッククダウン(都市封鎖)が延長されるなど、中国で新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、需要減退懸念が強まった様です。また、FRBがタカ派姿勢を強める中で、相対的にドル建て商品に割高感が生じたことも上値を抑えた様です。
一方で、今秋に5年に1度の共産党大会を控え、習近平指導部は財政出動や金融緩和によって景気のテコ入れに動くとの期待感は根強い上に、ロシアによるウクライナ軍事侵攻に伴う供給不安は払しょくされておらず、950ドル割れの場面では買い拾われております。
ロシアが2月24日に、本格的にウクライナへ軍事侵攻を開始してから1ヶ月以上が経過し、市場は供給不安を織り込みつつ、ここまで推移して来たとも言えそうですが、中国の需要減退懸念が後退していく様ですと、改めて供給不安が意識される可能性がありそうです。
MACDがようやく下げ止まりつつあるだけに、目先は1000ドルをやや上回った辺りで推移している、100日平均線や200日平均線を上抜き、終値ベースでは3月25日以来となる1000ドル台を回復出来るか注目されます。
なお、ロンドン地金市場協会(LBMA)は3月7日に、ロシアの貴金属精錬業者6社の認定を停止。新たなロシア産金と銀の取引を禁止しております。
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