四半期別 日本のGDP

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内閣府が5月16日に発表した2025年1-3月期GDP(国内総生産、季節調整済み)速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.2%減、年率換算で0.7%減となりました。マイナス成長は4四半期ぶり。物価高で個人消費が低調だったほか、輸出の下振れなどがGDPを押し下げた模様。

内需の柱である個人消費が前期比0.04%増とほぼ横ばい。外食などサービス消費は伸びたものの、物価高による節約志向の高まりで食料品が落ち込んでおります。

公共投資は0.4%減と、3四半期連続でマイナス。輸出は0.6%減と、4四半期ぶりにマイナス。統計上は輸出に計上されるインバウンド(訪日客)消費が増加。トランプ米政権による高関税の発動を控えた自動車の駆け込み輸出もあったものの、海外から受け取る知的財産権の使用料などの落ち込みが響いた様です。

GDPの押し下げ要因となった輸入は2.9%増と、2四半期ぶりにプラスとなりました。航空機のほか、海外IT大手に支払うネット広告の利用料などが増加。名目GDPは前期比0.8%増、年率換算で3.1%増でした。

同時に公表された2024年度実質GDPは前年度比0.8%増と、4年連続でプラス。物価変動の影響を反映した名目GDPは3.7%増。実額は616兆9095億円と、初めて600兆円を上回りました。暦年では、安倍首相(当時)が2015年に掲げた目標を達成していましたが、年度でも上回っております。

◆新資本主義会議、中小賃上げに60兆円投資

政府は5月14日に、新しい資本主義実現会議を首相官邸で開き、中小企業への賃上げ波及を目指す「中小企業・小規模事業者の賃金向上推進5ヶ年計画」を示し、2029年度までの5年間で、官民で60兆円程度を生産性向上に投資。飲食や宿泊、小売りなど人手不足が深刻な12業種の個別支援も打ち出しました。

石破政権は賃上げを「成長戦略の要」と位置付け、最低賃金を2020年代に全国平均1500円へ引き上げる方針。物価高やトランプ米政権の高関税政策の影響も踏まえ、国内雇用の7割を占める中小企業を集中的に支援するとしております。政府が6月に閣議決定する新しい資本主義実行計画の改定に反映させる模様。首相は会議で「中小企業の賃上げ環境の整備に政策資源を総動員する」と強調しました。

5ヶ年計画では、賃上げの新たな目標として、期間中に日本経済全体で実質賃金上昇率を年1%程度に定着させると明記。労働者が受け取る名目賃金は大企業を中心に高水準が続くものの、物価高の影響を差し引いた実質賃金は昨年まで3年連続でマイナスとなっていることが背景にあります。

具体的には、年10兆円程度にとどまる生産性向上のための投資を5年間で年平均4%伸ばすほか、人手不足が深刻な12業種を対象に「省力化投資促進プラン」を作り、全国の商工会・商工会議所を通じて支援。また、賃上げ原資確保のため官公需の価格転嫁促進も後押しするとしております。

 

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