用途別金需要(四半期別)

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産金業界団体ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)が7月28日に公表した「Gold Demand Trends」によると、2022年第2四半期(4-6月)の世界金需要は948.4トンで、前年同期比8.1%減少。3四半期ぶりに1000トンを割込み、2021年第3四半期(923.4トン)以来の低水準となりました。

金ETF(上場投資信託)関連の金需要はマイナス38.8トンで、2四半期ぶりにマイナスに転じております。ロシアのウクライナ侵攻開始やインフレ高進を受けて、今年序盤は需要が急増したものの、世界の中央銀行が続々と政策金利を引き上げる「利上げドミノ」によって債券利回りが上昇し、金利の付かない資産である金の魅力が薄れた様です。また、ドル独歩高が進む中、相対的にドル建て金価格に割高感が強まった模様。

宝飾品需要は同3.7%増の453.2トン、バー・コインなど投資用需要は同0.4%減の244.5トン。テクノロジー需要は同1.8%減の78.4トンでした。

一方、公的機関の金購入は179.9トンで、前年同期(209.6トン)からは減少したものの、7四半期連続で買い越し。2021年第2四半期(209.6トン)以来の大きさとなっております。

なお、WGCのアナリストは安全資産としての需要は今後も金投資を支える可能性が高いが、さらなる金融引き締めやドル高の継続が逆風となる恐れもあると指摘。また、景気減速や生活コストの高騰が宝飾品や金貨・バーの購入を阻害する可能性があると予想しております。

 

中国とインドの金需要(四半期別)

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需要を国別で見てみると、世界最大の金需要国である中国は前年同期比31.0%減の140.9トンでした。新型コロナウイルスの感染拡大を抑え込むために厳しい外出制限が課されるなど、各地でロックダウン(都市封鎖)が実施される中、2020年第2四半期(131.3トン)以来の低水準にとどまっております。

一方、婚礼需要やヒンズー教の祝祭に伴う需要が堅調であったインドは同42.7%増の170.7トンでした。1-6月期累計でも306.2トンと、前年同期(285.5トン)を大幅に上回っております。

ただ、WGCは今年のインド金需要量を800-850トンと予想しておりましたが、輸入関税引き上げやインフレ高進で可処分所得が目減りするため、下期は前年比で減少する可能性があるとし、下限の800トン程度に下方修正しております。

 

金需給(四半期別)

2021年Q2

2022年Q2

前年同期比

 鉱山生産

876.2トン

911.7トン

  4.0%

 二次供給(スクラップ)

278.5トン

291.1トン

  4.5%

 ヘッジ(ネット・ベース)

 -17.3トン

-10.0トン

 総供給

1137.4トン

1192.7トン

 4.9%

 宝飾品

437.1トン

453.2トン

 3.7%

 テクノロジー

79.8トン

78.4トン

 -1.8%

 公的金購入

209.6トン

179.9トン

-14.2%

 投資(バー・コイン)

245.5トン

244.5トン

-0.4%

 金ETF

 40.6トン

 -38.8トン

 総需要

1031.8トン

948.4トン

-8.1%

 需給バランス

105.7トン

244.4トン

※WGCの資料を基に豊トラスティ証券作成

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