NY金(中心限月、日足)
NY金(中心限月)は、3月16日に一時1895.2ドルまで下げて、2月28日以来の1900ドル割れとなる場面も見られたものの、終値では引き続き1900ドルを維持。インフレへの懸念が払拭されない中、引き続き「インフレヘッジ」として買い拾われた様です。
FRBのパウエル議長が、「インフレがあまりに高すぎる」と述べ、物価安定のため金融引き締めを進める考えを示し、今後のFOMC(米連邦公開市場委員会)で、必要なら0.50%の大幅利上げに踏み切る可能性を示唆するなど、先週はFRB高官のタカ派な発言が相次いだことが上値を抑えた模様。
ただ、ロシアによるウクライナへの本格的な軍事侵攻から1ヶ月が経過したものの、ウクライナ軍の頑強な抵抗を受けて、戦線は泥沼化の様相を呈し始めております。情勢はなお不透明で、「安全資産」として金を買う動きは根強く、3月24日には1967.2ドルまで買い進められる場面も見られました。
米長期金利が2%台前半で推移しているものの、中東情勢に加えて、北朝鮮がミサイルを連続して発射するなど、ウクライナ情勢以外にも「地政学的リスク」が高まっており、金に投機資金が流入し易くなっている様です。
世界最大の金ETFであるSPDRゴールドの金保有残高は、FOMC後も増加が続いており、3月25日時点で1093.18トン。昨年2月26日(1093.54トン)以来の水準を回復するなど、ヘッジとして資産バランスに金保有比率を高める動きは継続している模様。
SPDRゴールド・シェアの金保有残高
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時間外取引で節目の1950ドルをり込むなど、今週のNY金(中心限月)は軟調なスタートとなっております。四半期末とも重なり、ファンドがロング(買い玉)のポジション整理に動いている様です。テクニカル的にも、3月8日の高値2078.8ドルから3月16日の安値1895.2ドルの下げ幅をフィボナッチ・リトレースメントで見た場合の38.2%戻し水準1965.3ドルで上値を抑えられた形となっております。そのため、目先は1月28日を起点としたアップ・トレンドを維持出来るか注目されます。
なお、今週は3月31日に2月米個人消費支出(PCEデフレーター)、週末には3月米雇用統計、3月ISM米製造業景況指数の発表が予定されております。特に米雇用統計が好内容となる様だと、5月のFOMCで0.50%の利上げに踏み切るサポート材料になる可能性がありそうです。
また、原油高が続く中、3月31日に開催される石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなどで構成する「OPECCプラス」の閣僚級会合も注目されます。
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