NY金(中心限月、日足)
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NY金(中心限月)は、3月24日に1967.2ドルまで買い進められて1950ドル台を回復するも、ロシアとウクライナの停戦交渉が進展するとの期待感から、「地政学リスク」がやや後退。四半期末を控えたポジション調整の動きも加わり、金を手放す動きが強まった様で、軟調な地合いが継続。
FRB高官から「タカ派」な発言が相次ぎ、米長期金利が上昇したことも、「金利を生まない」金相場を圧迫した様で、3月29日に一時1888.3ドルまで下げる場面も見られております。ただ、終値ベースでは1900ドルは維持。
ロシアによるウクライナへの本格的な軍事侵攻から1ヶ月が経過したものの、ウクライナ軍の頑強な抵抗を受けて、戦線は泥沼化の様相を呈し始めております。
また、米債券市場で2年物国債利回りが一時的に10年物国債利回りを上回る「長短金利の逆転(逆イールド)」が発生。米景気の先行きに対する不安感も拡がりつつあり、「安全資産」として金を買う動きは根強い様です。
米平均時給と米インフレ率
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先週末に発表された3月米雇用統計では、非農業部門就業者数が前月比43.1万人増と、伸びは市場予想(49.0万人増)を下回ったものの、1、2月分が上方修正され、雇用の底堅さを示す内容。失業率は3.6%に低下しました。
また、平均時給が前年同月比5.6%増と高い伸びを示し、インフレ圧力が増大するとの懸念が拡大。インフレ抑制のため、FRBが5月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で0.50%の大幅な追加利上げに踏み切るとの見方が広がっております。
そのため、今週は4月6日に公表されるFOMC議事要旨(3月15、16日開催分)に注目が集まりそうです。量的引き締め(QT)の議論が進んでいることが明らかになるようだと、米長期金利が再度上昇する可能性があります。
また、今週は産金業界団体ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)から公的機関の金保有残高が発表されます。2月時点の数字となりますが、米国が対ロシアへの経済制裁としてドル決済の利用禁止を行う中、米国と一定の距離を置く国が、金を購入しているか注目されます。
テクニカル的には、50日平均線を維持しつつ、3月8日の高値2078.8ドルから3月16日の安値1895.2ドルの下げ幅をフィボナッチ・リトレースメントで見た場合の38.2%戻し水準1965.3ドル超えを試す展開が続くか注目されます。
SPDRゴールド・シェアの金保有残高
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世界最大の金ETFであるSPDRゴールドの金保有残高は4月1日時点で1091.73トン。前週比では1.45トン減となり、8週ぶりに減少に転じたものの、昨年2月26日(1093.54トン)以来の水準を維持。米長期金利の上昇を考えれば、底堅い動きとも言えそうです。
最後に、米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによると、大口投機家のNY金のネット・ロングは3月29日時点で9564枚増加の25万7596枚となり、3週ぶりに増加に転じました。
内訳をみると、ロングは同1028枚減少の32万7632枚となり、3週連続で減少した一方で、ショートは同1万0592枚減少の7万0036枚なり、5週連続で減少。
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