米雇用統計

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米労働省が5月3日に発表した4月米雇用統計(季節調整済み)によると、失業率は3.9%と、前月から0.1ポイント悪化しました(市場予想は3.8%)。景気動向を敏感に反映する非農業部門就業者数は前月比17.5万人増と、前月(改定値、31.5万人増)から大幅に縮小。市場予想(24.3万人増)も下回っております。なお、2月分は23.6万人増(従来は27.0万人増)、3月分は31.5万人増(従来は30.3万人増)にそれぞれ修正されました。雇用情勢は底堅さを保っているものの、勢いは鈍化しております。労働参加率は62.7%と、前月と変わらず。

 

米賃金とインフレ率

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インフレに影響する平均時給は前年同月比3.9%上昇。伸びは前月(4.1%上昇)から鈍化。前月比でも0.2%上昇と、伸びは前月(0.3%上昇)から鈍化しております。賃金を押し上げ、物価上昇圧力につながる人手不足は、移民増加などを背景に幾分和らいでいる様です。3月のアトランタ連銀の賃金トラッカーも前年同月比4.7%上昇と、伸びは前月(5.0%上昇)から鈍化。

雇用の伸びは堅調であるものの、求人件数は減少しており、先週のFOMC(米連邦公開市場委員会)声明公表後の記者会見で、追加利上げの可能性を聞かれたパウエル議長は、いまの金利水準でも景気の減速効果を生み出せていると述べ、物価が高止まりしても、雇用情勢が減速傾向を保っている限りは、金利をさらに引き上げるより、今の高金利政策をより長く維持することを示唆しております。

ただ、気掛かりな指標も出ております。フルタイム労働者は前年同月比0.4%減少。マイナスは3ヶ月連続で、コロナ禍の2020年3月〜2021年3月以来となります。なお、フルタイムが2ヶ月以上連続でマイナスになったのは統計のある1969年以降で9回しかなく、1回を除いてすべて景気後退だったと認定されております。

 

FesWatch(フェドウォッチ)

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CMEが公表している米金利先物の値動きからFOMCごとの政策金利を予想する「FedWatch(フェドウォッチ)」(5月6日時点)によると、6月のFOMCでFRBが0.25%の利下げを行うとの見方は8.7%、7月は31.4%、9月は67.0%となっており、市場が想定するFRBの利下げ開始時期は9月がコンセンサスになりつつあります。

また、市場が想定する12月時点のFF金利は4.75%-5.00%が最多となっており、FRBが今年利下げを行う回数は年2回の見通しが再び強まっております。

また、年内はFF金利が据え置かれるとの見方は19.0%。今のところ主流な見方ではないものの、今後の経済指標次第では、利下げが来年に先送りされる可能性もありそうです。

 

米求人件数

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なお、米労働省が5月1日に発表した3月米雇用動態調査(JOLTS)によると、非農業部門求人件数(季節調整済み、速報値)は前月比32.5万件減の848.8万件でした。市場予想(870.0万件)も下回り、2021年2月以来、約3年ぶり低水準となっております。解雇件数は152.6万件と、前月比15.5万人減少。採用件数は550.0万件と、前月比28.1万件減少。

 

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