米雇用統計
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米労働省が6月2日に発表した5月米雇用統計(季節調整済み)によると、失業率は3.7%と半世紀ぶりの低水準だった前月から0.2ポイント悪化(市場予想は3.5%)。一方、景気動向を敏感に反映する非農業部門の就業者数は前月比33.9万人増と、前月(改定値、29.4万人増)から伸びが拡大。市場予想(19.5万人増)も上回りました。
アトランタ連銀 賃金上昇トラッカー
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平均時給は前年同月比4.3%増と、前月(4.4%増)から伸びは若干鈍化。ただ、アトランタ連銀が算出する「賃金上昇トラッカー」は4月も6.1%と、コロナ禍前の3%台を大幅に上回る水準で高止まっております。
FRBは、人手不足による賃金上昇が接客などサービス分野の価格を押し上げることを懸念。インフレ率は全般的に低下基調にあるものの、「特に(変動が激しいエネルギー・食品を除いた)コアのサービス部門で、依然として高過ぎる」(ジェファーソン理事)と警戒しており、利上げの停止時期を慎重に見定める構え。
FedWatch(2023年6月開催分)
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なお、CMEが公表している米金利先物の値動きからFOMCごとの政策金利を予想する「FedWatch(フェドウォッチ)」(6月2日時点)によると、6月のFOMCでFRBが0.25%の利上げを行うとの見方は25.3%(先週末は64.2%)、据え置きは74.7%(先週末は35.8%)となっております。
なお、7月のFOMCでFRBが0.25%の利上げを行うとの見方は53.5%(先週末は52.2%)、据え置きは32.1%(先週末は20.7%)となっており、仮に6月は金利が据え置かれても、7月に0.25%の利上げを行うと見る向きは依然多い様です。
FedWatch(2023年7月開催分)
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◆最近のFRB高官の発言
・FRBのジェファーソン理事は5月31日に、6月のFOMCでFRBが利上げを見送ることにより、「どの程度追加の引き締めが必要か決定する前に、さらに多くのデータを見極められる」と述べました。ジェファーソン氏は「次回会合で金利据え置きを決定しても、今回の利上げ局面でピークに達したと捉えられるべきではない」と明言。FRBは昨年末以降、利上げペースを緩めているが、これは物価安定を回復する上で「十分に景気抑制的である水準に近づいている」ためだと説明しました。
・FRBのボウマン理事は5月31日に、米国の住宅価格が最近横ばい状態となり、「インフレ低下に向けた闘いに影響する」との見方を示しました。ボウマン氏は、「インフレを低下させるための利上げは、住宅市場で最も直接的に効いている」と指摘。「新規家賃契約の低下がインフレに反映されると予想しているが、住宅向け不動産市場は反発しているようだ」と述べております。
・フィラデルフィア連銀のハーカー総裁は6月1日に、これまでの利上げが経済に効いているとの「期待できる兆候がある」とし、FRBが「政策金利を据え置き、インフレを適宜に目標の水準へ戻っていくよう金融政策を作用させる地点に近づいている」と述べました。
・リッチモンド連銀のバーキン総裁は5月30日に、FRBの政策金利は「景気抑制的な領域にある」とした上で、金融政策運営は「より指標次第になっている」との見方を示しました。
・シカゴ連銀のグールズビー総裁は5月28日に、6月のFOMCで政策金利の引き上げを支持するかどうかを「予断を持たない」と語る半面、FRBによるこれまでの利上げの影響はまだ十分に出ていないとの認識を示しました。
・クリーブランド連銀のメスター総裁は5月26日に、同日発表された4月米個人消費支出(PCE)物価指数などを受けて、FRBが「もっとやるべきことがあることを示している」と述べた上で、6月のFOMCにおける政策決定については、今後発表される指標をなおも見極める意向を示しました。
・ボストン連銀のコリンズ総裁は5月25日に、インフレは依然として高すぎるとしながらも、「鈍化が期待できるいくつかの兆しがある」との見方を示した上で、FRBの政策金利は「利上げを停止する地点にいるか、その近くにいるかもしれない」と述べました。
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