米雇用統計
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米労働省が8月1日に発表した7月米雇用統計(季節調整済み)によると、景気動向を敏感に反映する非農業部門就業者数は前月比7.3万人増と、前月(改定値、1.4万人増)と前月から増加したものの、市場予想(11.0万人増)を大幅に下回りました。また、6月分は14.7万人増から1.4万人増、5月分は14.4万人増から1.9万人増に、それぞれ下方修正。FRBが重視する3ヶ月平均は3.5万人増と、コロナ禍以降で最低水準となっております。
業種別でみると、政府部門が1.2万人減。トランプ米大統領は政府機関の縮小と職員削減を進めており、政権が発足した1月からの減少幅は計8.4万人に達しております。増加分の多くは景気変動に関係なく安定している医療分野に偏っており、製造業は1.1万人減と、3ヶ月連続でマイナスとなりました。
失業率は4.2%と、前月から0.1ポイント悪化(市場予想は4.2%)。労働参加率は62.2%と、前月から0.1ポイント低下。2022年7月(62.1%)以来の低水準となっております。
米賃金とインフレ率
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インフレに影響する平均時給は前年同月比3.9%上昇。伸び率は前月(3.8%上昇)からやや加速。前月比では0.3%上昇した(前月は0.2%上昇)。
FRBの金融引き締め継続やトランプ米政権の高関税政策の影響で、米経済が急激に冷え込んでいるとの懸念が台頭しております。これまで、パウエルFRB議長はインフレ再燃リスクへの警戒感からタカ派な姿勢を示してきましたが、今回の雇用統計の結果を受けて、発言に変化がみられるか注目されます。
米求人件数
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同省が7月29日に発表した6月米雇用動態調査(JOLTS)によると、非農業部門求人件数(季節調整済み、速報値)は前月比27.5万件減少の743.7万件と、3ヶ月ぶりに減少に転じました。市場予想(750万件)も下回っております。飲食・宿泊サービスで求人件数が減少したことが要因。
なお、解雇件数は160.4万件と、前月から0.7万件減少。2ヶ月連続で減少となっております。米労働省が7月3日に発表した6月米雇用統計を基に計算すると、6月は失業者1人に対し約1.06件の求人があった計算となります。
◆トランプ米大統領、米労働統計局長を解雇
トランプ米大統領は8月1日にSNSで、労働市場の急激な鈍化を示した雇用統計が不正確だとして、マッケンターファー労働統計局長を解任するよう指示したと投稿。直後に、チャベスデレマー労働長官が労働統計局の副局長を局長代行に任命したことを明らかにしました。
トランプ氏は根拠を示さず、「この日の雇用統計は共和党員とわたしの面目を失わせるため不正操作された」と主張。「(バイデン前大統領(民主党)によって任命された)政治任命者を即刻解雇するよう指示した」と表明。また、昨年の米大統領選前に良い内容だった雇用統計が選挙後に下方修正されたことに触れ、「選挙直後に数字が間違っていたと発表した。この前もそうだった」と主張。「詐欺だ」などと持論を展開しております。
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