米雇用統計
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米労働省が8月2日に発表した7月米雇用統計(季節調整済み)によると、失業率は4.3%と、前月から0.3ポイント上昇と、4ヶ月連続で悪化(市場予想は4.1%)。2021年10月(4.5%)以来2年9ヶ月ぶりの水準に悪化しております。FOMC参加者が6月会合で予測した2024年末の中央値4.0%を2ヶ月連続で上回っております。
景気動向を敏感に反映する非農業部門就業者数は前月比11.4万人増と、前月(改定値、17.9万人増)から大幅に縮小。市場予想(17.5万人増)も下回り、米労働市場の鈍化が浮き彫りとなっております。
なお、6月分は20.6万人増から17.9万人増、5月分は21.8万人増から21.6万人増に修正され、FRBが重視する3ヶ月平均は17.0万人増と、コロナ禍の2019年平均(16.6万人)と同水準まで減少。2023年まで採用を増やしていたIT(情報技術)も含めて、雇用の勢いが幅広い業種で減速しております。なお、労働参加率は62.7%と、前月から0.1ポイント上昇。
米賃金とインフレ率
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インフレに影響する平均時給は前年同月比3.6%上昇。伸びは前月(3.8%上昇)を下回り、2ヶ月連続で鈍化。前月比でも0.2%上昇と、伸びは前月(0.3%上昇)から減速。インフレ圧力が減退していることをうかがわせる内容となっております。
7月の調査期間中に、ハリケーン「ベリル」が南部テキサス州に上陸。全体の労働時間が減って平均時給が押し上げられ、就業者数はやや減ったとの見方もある様ですが、雇用増の勢いが弱まり、インフレ圧力も鈍化する中、FRBが利下げを開始する環境は整いつつある様です。なお、7月のFOMC(米連邦公開市場委員会)後の記者会見で、パウエルFRB議長は「労働市場がこれ以上冷え込むことは望んでいない」と強調。これまでは物価抑制を優先したが、今後は雇用の悪化リスクをより慎重にみるという考えをしております。
「サーム・ルール」が発動するなど、米景気の悪化懸念が急速に高まる中、市場では9月のFOMC(米連邦公開市場委員会)でFRBが利下げを開始するとの観測が一段と高まっております。また、年3回の利下げを行うとの見方や、FRBの政策が後手に回っているとの見方から、9月のFOMCで0.50%の利下げを行うとの見方も出始めております。
なお、CMEが公表している米金利先物の値動きからFOMCごとの政策金利を予想する「FedWatch(フェドウォッチ)」(8月2日時点)によると、9月のFOMCでFRBが0.25%の利下げを行うとの見方は26.0%、0.50%の利下げを行うとの見方は74%となっております。
また、12月のFOMCで4.00-4.25%まで政策金利を引き下げるとの見方は47.8%まで上昇。現行水準から1.25%引き下げるとの見方が強まっております。
FedWatch
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なお、米労働省が7月30日に発表した6月米雇用動態調査(JOLTS)によると、非農業部門求人件数(季節調整済み、速報値)は前月比4.6万件減の818.4万件と、市場予想(810.0万件)を下回りました。解雇件数は同18.0万件減の149.8万件、採用件数は同31.4万件減の534.1万件。
パウエル議長が注目している「失業者1人あたりの求人件数」は、2022年は2件程度でしたが、労働省が7月5日発表した6月米雇用統計を基に計算すると、同月は失業者1人に対し、1.20件の求人まで低下。2021年6月(1.08件)以来、3年ぶりの低水準となっております。
米求人件数
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