FF金利と米インフレ率

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FRBは7月3日にFOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨(6月11、12日開催分)を公表。参加者は、労働市場の過熱沈静化などから「物価圧力が減退している」との見方を示していることが明らかとなりました。また、大多数が経済成長に関して「緩やかに減速している」と指摘していた模様。

参加者はここ数ヶ月で「インフレ鈍化には小幅ながらも進展があった」と判断。持続的に鈍化するとの一段の確信が得られるまでは利下げは適切ではないとの見解を堅持。今後の政策決定において、経済指標や見通しなどが重要だとも改めて強調されました。また、金融市場の指標への反応などから、こうしたFRBの政策アプローチが「全般的に十分理解されている」との見方もあった様です。

FRBの金利水準に関しては大半が「景気抑制的」としております。ただ、参加者は景気見通しや、どれほどの期間にわたって金利を抑制的とするか不透明と言明。インフレが持続もしくは加速するなら、追加利上げが必要になるとの意見があった一方で、予想外の景気鈍化に備えるべきだとの声も多かった模様。

 

FesWatch(フェドウォッチ)

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CMEが公表している米金利先物の値動きからFOMCごとの政策金利を予想する「FedWatch(フェドウォッチ)」(7月3日時点)によると、7月のFOMCでFRBが0.25%の利下げを行うとの見方は8.3%(先週末は10.3%)、9月は68.4%(先週末は57.9%)となっており、市場ではFRBが9月に利下げを開始するとの見方がより強まっている様です。

また、市場が想定する12月時点のFF金利は4.75%-5.00%が最多で、FRBが年2回の利下げを行うとの見方が引き続き多い様です。また、3回利下げを行うとの見方も21.7%あり、今後の米経済指標次第では年3回を意識する向きが増えることも想定されます。

◆パウエルFRB議長、米国はインフレ鈍化基調に復帰

FRBのパウエル議長は7月2日に、ECBフォーラームで行われた討論会で、米国の物価動向に関して、最近の指標を踏まえ「インフレ鈍化の道に戻っている」との見解を明らかにしました。また、来年のインフレ率が2%台前半から半ばを推移すると予想。目標の2%を「来年末」にも達成する可能性があるとの見方を示しております。

パウエル氏は利下げ判断に関して、米経済や労働市場が堅調さを保っているため「時間を掛けることが出来る」と説明。持続的なインフレ鈍化への「一層の確信を望んでいる」とし、まずは経済指標を見極める姿勢を強調しました。利上げ時期については「特定の時期を明示しない」と述べるにとどめております。一方で、「労働市場が予想外に悪化すれば」利下げで対応する考えを示唆。金融緩和が早すぎても遅すぎても経済に悪影響を及ぼすとした上で、物価安定回復と堅調な雇用情勢の維持に努める意向を示しております。

また、11月の米大統領選で、トランプ前大統領が返り咲きを決めた場合、FRBの独立性が脅かされる恐れについて「まったく注視していない」と明言。一方で、米財政赤字規模が「非常に大きい」と懸念を示し、財政健全化への着手は「遅いより早いほうが良い」と訴えております。

◆FRB高官の発言

・NY連銀のウィリアムズ総裁は7月3日にECBフォーラムで、金融政策の決定に当たり、中立金利の推計値に過度に依存すべきでないとの認識を示しました。

・シカゴ連銀のグールズビー総裁は7月2日に、米CNBCテレビとのインタビューで、「米景気が弱まっていると言う幾つかの兆し」があると言明しております。

・リッチモンド連銀のバーキン総裁は6月28日に、FRBのこれまでの利上げで、最終的にはインフレを抑制出来ると考えているが、金融政策は広く考えられているほど引き締め的ではないかもしれないとの認識を示しました。

・サンフランシスコ連銀のデイリー総裁は6月28日に、5月米PCE物価指数の伸びが前月から鈍化したことは、金融政策が機能していることを示す「良いニュース」で、インフレは徐々に沈静化しつつあると確信していると述べております。

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