米国の過去の利上げ推移

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FRBは5月24日に、FOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨(5月2、3日開催分)を公表。会合では、インフレ低下が進展しない状況を受けて、一部の参加者は「今後の会合」で追加利上げは妥当との見方を示した模様。一方で、追加利上げが必要なくなる可能性もあるとの主張もあり、今後の引き締めを巡って見解の相違があったことが明らかとなりました。

5月の会合では0.25%利上げを決定。声明文から「追加の政策措置が適切」としていた前回会合までの表現を削除して利上げ停止を示唆しております。

追加利上げを主張した参加者は物価の鈍化ペースが「受け入れがたいほど遅い」と理由を説明。これに対して、それを上回る幾人かの参加者が現状の経済動向を踏まえると追加措置はこれ以上必要ないかもしれないと言及した様です。

ほとんどの参加者が相次ぐ銀行破綻で融資など与信環境が厳しくなっていることを踏まえ、経済成長には下押しのリスクが高まっていると指摘。事務方も経済見通しのなかで年後半から緩やかな景気後退に入るとの見通しを維持したとしております。

また、ほとんどの参加者が、物価上昇率が目標を大きく上回り、人手不足が続く中では物価が高止まりするリスクが政策決定の上で重要な要因であるとし、すべての参加者が物価上昇率について「受け入れがたいほど高い」との見方を維持した模様。

 

FedWatch(2023年6月開催分)

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なお、CMEが公表している米金利先物の値動きからFOMCごとの政策金利を予想する「FedWatch(フェドウォッチ)」(5月24日時点)によると、6月のFOMCでFRBが0.25%の利上げを行うとの見方は31.3%(先週末は17.4%)、据え置きは68.7%(先週末は82.6%)となっております。

依然として据え置き予想が多い様ですが、最近のFRB高官のタカ派な発言を受けて、0.25%の利上げを予想する向きも少しずつ増えている様です。

なお、7月のFOMCでFRBが0.25%の利上げを行うとの見方は46.5%(先週末は19.0%)、据え置きは80.6%(先週末は40.4%)となっており、仮に6月は金利が据え置かれても、7月に0.25%の利上げを行うと見る向きが増えている模様。

 

FedWatch(2023年7月開催分)

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◆最近のFRB高官の発言

・FRBのウォラー理事は5月24日に、米インフレは依然として高すぎ、物価低下に向けた「進展はあまりない」との見方を示しました。一方、相次ぐ米銀破綻を受けた与信条件の厳格化の影響を懸念する場合、6月のFOMCでは利上げをいったん見送り、与信がそれほど厳格化していないなら、7月会合で利上げするのが「適切な政策だ」と明言。

・NY連銀のウィリアムズ総裁は5月19日に、FRBが6月のFOMCで政策金利を据え置く可能性を示唆。景気を過熱も冷やしもしない「中立金利」について「個人的な予測だ」とした上で、今年は次第に下がっていくと説明しました。

・アトランタ連銀のボスティック総裁は5月22日に、追加利上げを決定する前に「少し」待つことに抵抗感はないという見解を示し、6月のFOMCで金利を据え置く用意があるという考えを改めて示しました。

・セントルイス連銀のブラード総裁は5月22日に、米経済は予想よりも強い一方、インフレの減速は緩やかにとどまっていると分析。その上で、FRBは政策金利を今年、あと2回引き上げる必要があるとの見解を示しました。

・サンフランシスコ連銀のデイリー総裁は5月22日に、FRBの金融政策に関して「極めて経済指標次第だ」と述べ、6月のFOMCまで、なお指標を見極める必要があるとの見方を示しました。

・ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は5月22日に、6月のFOMCでの政策決定について、利上げ継続か見送りか「紙一重だ」と発言。ただ、FRBが6月に利上げを見送った場合でも、「利上げサイクルの終わりではない」と強調し、経済指標次第で7月のFOMCで利上げを再開する可能性に含みを持たせました。

 

 

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