米PCE消費者物価指数

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FRBのパウエル議長は3月29日に、サンフランシスコ連銀で行われたイベントで、景気や雇用が堅調に推移しており、「利下げを急ぐ必要はない」と明言。インフレが継続的に鈍化することに一段の確信が持てるまで、利下げ開始を「待つことができる」と述べました。3月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で公表されたFOMCメンバーの金利見通しによると、FRBは通常の0.25%幅で年3回の利下げを想定しており、引き下げの開始時期が焦点となっております。

この日発表された2月個人消費支出(PCE)の伸び率が5ヶ月ぶりに加速したことについて、パウエル議長は「ほぼ予想通り」との認識を表明。基本シナリオでは、目標の2%に向かって「インフレは鈍化していく」との見通しを堅持しました。ただ、鈍化の道のりは「スムーズではない」とも述べております。

また、インフレが予測通りに減速しないなら「より長期にわたって、金利を現行の水準で据え置くことが可能だ」と説明。ただ、労働市場が予想外に悪化すれば、速やかな利下げで対応する可能性を示唆。その上で、現在の金融政策は「どの様な状況にも対応できる良い位置にある」と述べました。

性急すぎる利下げでインフレを再燃させるリスクと、利下げが遅すぎ経済に不必要な打撃をもたらすリスクの「両面がある」と言明。このため、「利下げ開始の決断は非常に重要だ」とし、「(インフレ鈍化を示す)良い指標をもっと多く確認する必要がある」と強調しております。

米国の財政赤字拡大が金融政策に及ぼす影響については、「財政を理由に利上げをするべきではないし、そうしたこともない」と発言。ただ、財政赤字が「持続可能な道ではない」と警告し、「速やかに持続可能な道を取るほど、その道により良く戻れる」と訴えました。

なお、米商務省が3月29日に発表した2月米個人消費支出(PCE)物価指数は、前年同月比2.5%上昇。市場予想と一致したものの、伸び率は前月(2.4%上昇)を上回り、5ヶ月ぶりに加速しております。前月比では0.3%上昇し、前月(0.4%上昇)から伸びが鈍化。

価格変動が激しいエネルギーと食品を除いたコア指数は前年同月比2.8%上昇。前月(2.9%上昇)から伸びがやや鈍化。前月比でも0.3%上昇と、前月(0.5%上昇)から伸びが鈍化しております。3月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で公表されたFOMCメンバーの経済見通しによると、2024年末時点のPCE物価上昇率は2.4%と予測されております。

 

FedWatch

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最後に、CMEが公表している米金利先物の値動きからFOMCごとの政策金利を予想する「FedWatch(フェドウォッチ)」(3月28日時点)によると、5月のFOMCでFRBが0.25%の利下げを行うとの見方は9.3%に留まる一方で、6月は60.9%となっており、依然として市場では6月の利上げ予想が多い様です。なお、7月は76.8%、9月は93.5%となっております(3月29日は「グッド・フライデー」で休場のため、PCEやパウエル議長の発言を反映した数字ではありません)。

 

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