世界成長率見通し

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国際通貨基金(IMF)は4月11日に、最新の世界経済見通しを公表。2023年の世界成長率を2.8%と、1月時点の見通しから0.1ポイント引き下げました。2024年も3.0%と、0.1ポイント下方修正。

米銀破綻に端を発した信用不安を背景とする金融環境の悪化が、コロナ禍からの回復途上にある景気を圧迫する見込み。金融不安の影響で強い信用収縮や株安が重なれば、世界成長率が1970年以降5回しかない2%割れになるとの試算もしめしております。

また、融資条件が若干厳格化される「可能性の高いシナリオ」として、金融不安は収まるものの銀行の融資姿勢が厳しくなる事態を想定。この場合、世界成長率は2.5%と、リーマン危機後の2009年と新型コロナウイルス禍が直撃した2020年を除き2001年以降で最低になる見込み。

なお、IMFのチーフエコノミスト、ピエール・オリビエ・グランシャ氏は「過去1ヶ月余りの金融混乱により、景気の下振れリスクは大きい」と警告。信用不安が一段と高まり、株価急落や資金の安全資産への逃避、ドル高が起きれば、世界の成長率は1%程度に落ち込むとの見方を明らかにしております。

 

世界成長率見通し(国別)

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国・地域別(2023年)では、米国は1.6%、ユーロ圏は0.8%にそれぞれ上方修正。中国は5.2%で据え置いております。日本は1.3%と、1月時点の見通しから0.5ポイント下方修正しております。

なお、世界銀行のマルパス総裁も4月10日に、金融不安の影響が長期化する可能性に懸念を示しております。2023年の世界成長率を2.0%と予測。中国が「ゼロコロナ政策」を解除した影響を反映して1月時点の見通しの1.7%から引き上げたものの、2022年の3.1%から鈍化する見込み。最近の金融不安について金融機関が持つ資産の問題が解消するまで時間が掛かるとした上で、「世界中の銀行システム、国際資本市場の見直しで流れが逆転し、途上国からの資本流出が懸念される」と指摘。途上国からの資本流出など今後の下方修正のリスクについて「黄信号というより赤信号といったほうがよい」と言及しております。

 

IMFの成長率見通し

 

2022年 2023年 2024年
世界全体 3.4% 2.8%(-0.1) 3.0%(-0.1)
米国 2.1% 1.6%(0.2) 1.1%(0.1)
ユーロ圏 3.5% 0.8%(0.1) 1.4%(-0.2)
英国 4.0% -0.3%(0.3) 1.0%(0.1)
中国 3.0% 5.2%(0.0) 4.5%(0.0)
インド 6.8% 5.9%(-0.2) 6.3%(-0.5)
日本 1.1% 1.3%(-0.5) 1.0%(0.1)

※豊トラスティ証券作成、カッコ内は1月時点からの修正幅

 

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