NY白金とNYパラジウムの鞘(中心限月、終値)

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NY白金(中心限月)とNYパラジウム(中心限月)の鞘が2月8日終了時点で1.90ドルとなり、2017年9月から始まった逆ザヤが6年4ヶ月ぶりに解消されました。

世界的な排ガス規制が強まる中、ガソリン車向け触媒に使用されるパラジウムの需要増加に伴い、供給不足が意識され始め、パラジウムが急騰。ロシアのウクライナ侵攻を受けて、世界最大のパラジウム供給国であるロシアからの供給懸念が強まったこともあり、2022年3月7日に3425.00ドルを付ける場面も見られております。

ただ、世界的に電気自動車(EV)の普及が進んでいることに加えて、ガソリン車向け触媒として使用出来るが価格はパラジウムより安い白金が代替と使用され始め、価格水準の高いパラジウムから白金へシフトする動きが加速。需要の8割を占める触媒需要の落ち込みが嫌気され始める中、一転して下落基調に。昨年11月10日に2018年9月以来の1000ドル割れとなり、その後も上値の重い展開が続いておりました。

一方で、白金はここ数年1000ドルを中心とした上下200ドルのレンジで推移しており、価格が安定。コロナ禍で一時的に需要が減少する時期もあったものの、世界的な排ガス規制が強まる中、自動車触媒需要は順調に伸びております。

白金業界団体「ワールド・プラチナム・インベストメント・カウンシル(WPIC)」は最新の需給レポートで、2024年の自動車触媒需要は前年比1.5%増の103.0トンと、2016年(104.5トン)以来8年ぶり高水準となると予測。パラジウムからの代替として白金の触媒需要が22トン程度増えると見込んでおります。

仮に、このまま白金とパラジウムの鞘が順ザヤで推移しても、既に大手自動車メーカーは工場の一部をパラジウムから白金仕様へシフトさせつつあり、再びパラジウム仕様へ戻すのには時間が掛かると見られております。そのため、需要が再びパラジウムへシフトするとの見方は少ない様です。

なお、ロイター通信によると、スイス金融大手UBSのアナリストは「自動車産業は、長期サイクルで自動車生産をしており、触媒に使用する貴金属を近い将来に切り替える公算は小さい。パラジウムは今後も継続的に白金よりも安値で取引される可能性がある」と述べた様です。

 

 

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