NY金(中心限月、日足)
↓クリックすると拡大します↓
・WGCの需給レポートはこちら
・金の地上在庫はこちら
・公的機関の金準備はこちら
・中国の金準備はこちら
・中国の金輸入量はこちら
・スイスの金輸出量はこちら
先週のNY金(中心限月)は、前週末比38.6ドル安の2308.6ドルで終了。2週連続で下落しております。
パレスチナ自治区ガザで戦闘を続けるイスラエルとイスラム組織ハマスの休戦交渉が進展するとの見方が拡がる中、過度に高まっていた中東情勢緊迫化への懸念がやや後退し始めたため、上値の重い展開が継続。5月3日に2285.2ドルまで下げる場面も見られるも、終値ベースでは引き続き2300ドルを維持しております。
注目されたFOMC(米連邦公開市場委員会)で、FRBは市場の予想通り、6会合連続で政策金利の据え置きを決定。声明公表後の記者会見でパウエル議長は、インフレが持続的に2%に向かうと確信を強めるまでに「想定よりも時間が掛かりそうだ」との見方を示した上で、年内の利下げ開始についての言及を封印。一方で、「次の政策金利の変更が利上げになる可能性は低い」と発言。根強いインフレを背景に市場ではタカ派な姿勢を示すとの見方が多かっただけに、次の一手が利下げとの見方は安堵感を誘った様です。6月から量的引き締め(QT)のペースを緩めることを正式に決定したことも価格を押し上げた模様。
先週末に発表された4月米雇用統計も、失業率は3.9%と、前月から0.1ポイント悪化(市場予想は3.8%)。景気動向を敏感に反映する非農業部門就業者数は前月比17.5万人増と、前月(改定値、31.5万人増)から大幅に縮小。市場予想(24.3万人増)も下回るなど、米労働市場の減速を示唆する内容。CMEが公表している米金利先物の値動きからFOMCごとの政策金利を予想する「FedWatch(フェドウォッチ)」(5月6日時点)によると、市場が想定するFRBの利下げ回数は年2回見通しが再び強まっております。
とは言え、テクニカル的にMACDがデッド・クロスを維持しており、引き続き上値の重い展開が続きそうです。終値で2300ドルを割り込む様だと、2月14日の安値1996.4ドルから4月12日の高値2448.8ドルの上げ幅をフィボナッチ・リトレースメントで見た場合の38.2%押し水準2276.0ドル辺りまで下げることも想定されます。
ただ、イスラエルとハマスの停戦交渉が進みそうな一方で、イスラエルのネタニヤフ首相は、パレスチナ自治区ガザで続く戦闘の休止合意の有無にかかわらず、ガザ最南部ラファに侵攻しイスラム組織ハマスを壊滅すると発言しており、中東の「地政学リスク」は引き続き意識され易く、安値は「安全資産」として買い拾われそうです。
なお、産金業界団体ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)が発表した最新の需給レポートによると、年初から2000ドルを上回って推移し、過去最高値を更新する中でも、中央銀行やアジアの需要は鈍化していない模様。
SPDRゴールド・シェアの金保有残高
↓クリックすると拡大します↓
最後に、世界最大の金ETFである「SPDRゴールド・シェア」の金保有残高は5月3日時点で前週末比1.73トン減少の830.47トンと、4週ぶりに減少に転じております。
一方、世界第2位の金ETFである「iシェアーズ・ゴールド・トラスト」は前週末比0.34トン増加の382.91トンと、3週ぶりに増加に転じております。
※豊トラスティ証券株式会社が提供する投資情報は、あくまで情報提供を目的としたものです。銘柄の選択、売買価格など投資にかかる最終決定は弊社の重要事項説明書を十分にお読み頂き、投資家自身の判断でなさる様にお願い致します。本資料作成につきましては細心の注意を払っておりますが、その正確性については保証するものではなく、万一その内容に誤りがあった場合、その誤りに基づく障害については当社は一切の責任を負いかねます。