自由主義経済では、物の価格は一定ではなく、需要と供給のバランスによって変動します。天候など自然的要因や、社会的経済的要因、為替の変動など様々な要因によって、あらゆる物の価格が値上がりしたり値下がりしたりします。
このような価格変動によって、生産者やメーカー、流通業者や消費者などが、思わぬ損失を被ることもあります。
こうした価格変動リスクを管理し、リスクヘッジの場として商品先物取引が活用されています。また、いろいろな取引参加者が競り合うことで、商品先物市場は公正な価格を形成する場ともなっています。また一方で、商品先物取引は、取引が行われる取引所での商品価格が上下する動きを予測することで、積極的な資産運用の場としても活用されています。
商品先物取引の基本的な概念
動画でわかる商品先物取引
商品先物取引の基礎
商品先物取引とは、価格変動に対するリスクヘッジや資産運用を目的として、金やガソリン、とうもろこしなど取引所に上場された商品を、一定の期間内に決済または現物受渡しすることを前提として売買する取引のことです。
取引する商品の価格が将来上がると予測すれば「買い」から始め、予測どおり値上がりしたときは、その時点で転売して利益を確定します。
逆に、商品の価格が将来下がると予測すれば「売り」から始め、予測どおり値下がりしたときは、その時点で買い戻しをして利益を確定します。従って、取引の期限内であれば、「買い」と「売り」の両方、つまり価格の上昇・下落の両局面で利益を追求できるのです。
先物取引の基本は、
- 約定値段から値上がりすれば、買い方が得をして、売り方は損をする
- 約定値段から値下がりすれば、売り方が得をして、買い方は損をする
損益の具体例
この説明は、金1枚を買った場合です。売った場合には逆に考えることが必要で、1グラム当たり5円上がれば1キログラムで5,000円の損失が、5円下がれば5,000円の利益が生ずることになります。
商品先物取引の特色
市場
商品先物取引は、金融商品取引法および商品先物取引法に基づき、内閣総理大臣の免許・農林水産大臣または経済産業大臣の許可を受けた取引所が開設する市場で行われています。
日本において商品先物取引に参加するには、取引所の取引参加者となるか、または豊トラスティ証券など登録を受けた商品先物取引業者や金融商品取引業者を通じて売買に参加する必要があります。
日本には大阪取引所、東京商品取引所、堂島取引所の3つがあり、貴金属、農産物、石油製品など約30種類の商品や商品指数が上場されています。
金融商品取引所
内閣総理大臣の免許を受けて開設された取引所で、商品については大阪取引所に上場されています。
商品取引所
主に商品先物取引を行うことを目的として開設された市場で、現在の取引所は東京商品取引所と堂島取引所があります。
金融商品取引業者
金融商品取引法に規定された金融商品を取り扱うため、金融庁に申請、登録を受けた業者のことで、先物取引等取引参加者(OSE)と商品先物等参加者(OSE)が商品先物取引を行うことができます。
商品先物取引業者
お客様から取引の委託を受けて、取引所に注文を発注することのできる会社を商品先物取引業者(受託取引参加者)といいます。なお、商品先物取引業者として営業を行うには、農林水産大臣と経済産業大臣の許可が必要です。
また、取引所に直接発注できる商品先物取引業者は取引所の受託取引参加者に限られています。
登録外務員
登録外務員は、商品先物取引業者または金融商品取引業者に代わって、商品先物市場における取引の受託や委託の勧誘などが行えるアドバイザーです。
株式会社日本証券クリアリング機構(JSCC)
㈱日本証券クリアリング機構(JSCC)は、取引所取引、店頭(OTC)デリバティブ取引(CDS取引及び金利スワップ取引)及び国債店頭取引の清算業務を行い、取引の決済履行を保証しています。
日本商品委託者保護基金
預託した証拠金以外の資産や、商品先物取引業者が証拠金を一時的に保管する場合の資産保全業務を行っているのが日本商品委託者保護基金です。この保護基金には、全ての商品先物取引業者の加入が義務付けられています。
リスクヘッジ機能(保険つなぎ)
商品先物取引の重要な役割であるリスクヘッジとは、生産者やメーカー、輸出入業者など商品の現物取引を行っている者が、将来の価格変動によって損失を被らないように保険をかける機能です。このような場合、商品先物市場において、現物を持っている者は「売り」を、将来現物を仕入れる者は「買い」のポジションを持つことによって、現物取引における価格変動リスクを回避することができます。
例えば、農家が春に種の作付けを行う時期に、先物市場において秋に収穫し販売契約を結ぶ時期の先物価格で「売り」ポジションを保有します。その年が豊作であれば、現物市場においては価格の下落によって大きな損失が出ますが、先物市場においては「売り」ポジションによって利益が生まれ、現物市場の損失を相殺することができるのです。
このように、商品先物取引は、価格変動の激しい商品が安全に取引されるために、大きな役割を担っているのです。
取引期限
商品先物取引では、「買付け(または売付け)時点の先物価格」と「転売(または買戻し)時点の先物価格」の差額を精算することで取引を終了できます。これを「差金決済(さきんけっさい)」といいます。差金決済しない場合は、商品の現物の「受渡し」により取引を終了します。
商品先物取引は、一定の期間内に決済または現物受渡しすることを前提として売買する取引のことですから、取引には決済期限があります。決済期限は、商品によって異なりますが、主に1ヶ月毎または2ヶ月毎に定められ最長で1年程度です。決済期限の月を「限月(げんげつ)」と呼び、限月ごとに売買が行われ、価格が決定されます。その限月の最終取引日を「納会日(のうかいび)」と呼びます。
商品先物取引では、納会日までに、「買い」ポジションは転売により、「売り」ポジションは買戻しによる「反対売買」を行って差金決済を行うか、買い方が商品の受渡し代金を支払って現物(倉荷証券)を引き取る一方で、売り方は現物(倉荷証券※)を引き渡す、「受渡し」を行うことで取引を終了するのです。
- ※倉荷証券 ・・ 倉庫業者が寄託者の請求より寄託物 について作成交付する有価証券
委託者証拠金(保証金)
現物取引では商品代金の全額を受払いしますが、商品先物取引では総額の3~20%程度の「委託者証拠金」を取引の担保として預託して売買を行います。
証拠金の数倍から数十倍の額の取引を行うことができるため(レバレッジ効果)、この投資資金効率の良さが商品先物取引のメリットとなっています。
少額の資金で大きな利益を生み出すことが期待できる反面、それを上回る損失を被る可能性もありますので、あらかじめ資金に余裕を持って取引を行うことが大切です。
身近な取扱い商品
商品先物市場に上場され取引されている商品は、私たちの生活に身近で必要なものばかりです。
装飾品や資産として代表格の金は、エレクトロニクスの分野でも重要な素材ですし、日本では装飾品として好まれる白金も、自動車の排気ガス浄化の触媒として多く使用されています。ガソリンや灯油など石油製品は、あらゆる動力や設備の燃料として不可欠のものですし、とうもろこしや大豆は私たちの食用としてだけでなく家畜を育てる飼料としても活用されます。
商品先物市場は、経済の発展やあらゆる産業活動を支える上で重要な役割を担っているといえるでしょう。
通常取引と損失限定取引の違い
豊トラスティ証券で提供する商品先物取引の中でも、東京商品取引所では、資金効率を活かせる「通常取引」と、最大損失を限定してお取引できる「損失限定取引(スマートCX)」をご用意しております。
どちらも東京商品取引所で行われる「商品先物取引」ですが、サービスの性質上、異なる部分がございます。
ここでは、「通常取引」と「損失限定取引(スマートCX)」の違いについてご説明いたします。
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