原油(Crude oil)の特徴
取引所:東京商品取引所
「石油」は油井から採取された可燃性の鉱物油(原油・天然ガス・石油製品)の総称で、「原油」は自然界に存在する鉱物油を指します。供給面ではOPEC(石油輸出国機構)の加盟国やロシア、ノルウェーなどの非加盟国の生産動向、需要面では世界の景気や中国を中心とした消費国の動向がポイントになります。また、産油国は政治情勢が不安定な国が多いため、他の商品に比べて地政学的リスクは高いといえます。わが国は資源を持たない国で、原油のほとんどは中東から輸入しています。それだけ、他の国に比べて地政学的リスクは高く、仮に、情勢不安などが表面化して原油価格が高騰すると、電気やガス料金の値上げにつながることがしばしばです。
「原油(Crude oil)」に関連するマーケット情報
価格変動要因
- 供給サイド
1.OPECの動向
世界の石油生産の中心となるのがOPEC(石油輸出国機構)です。同機構の生産量は世界全体の40%近くを占めています。OPECの多くは中東に位置していますが、わが国は大部分を中東諸国から輸入しています。なお、OPECは需給を調整する目的で、生産枠を総会で決定します。原油価格が著しく高騰している時には生産枠を増やし、逆に下落している時には減産するなど、価格の著しい変動を防ぐ役割を果たしています。
2.非OPEC諸国の動向
OPEC以外の産油国の動向も原油の変動要因になります。非加盟国で注目したいのは、世界一の産油国に躍り出たロシアやノルウェー、メキシコなどの動向で、仮に、OPECが減産を決定しても非加盟国が協調減産を実行しないと需給調整ができず、原油価格が下落するケースがあります。
3.脱石油政策の動向
最近、見逃せないのが世界各国でクリーンエネルギー政策をとっていることです。エタノール、バイオディーゼル、電気自動車が本格的に普及すると、それに合わせる格好で、原油生産が縮小する可能性があります。
4.中東情勢
世界最大の原油供給地域である中東は、「世界の火薬庫」との異名があるように、情勢不安が日常化しています。宗教的な背景のほか、民主化を求める国が多く、紛争が起こりやすい地域で、地政学的なリスクは高いといえます。
- 需給サイド
1.米国の動向
世界最大の原油消費国である米国の動向を常に注目する必要があります。需要面で留意したいのは季節要因です。春先から夏場にかけては暖房油向け需要が減少することが多く、とりわけ冬場が暖冬であった場合は原油需要の減少につながります。逆に、厳しい寒波が襲来した時は暖房油需要が急増して在庫が減少、需給ひっ迫で価格が上昇することもあります。また、夏場が酷暑になると、自動車のクーラーの使用が増えてガソリン需要が増加、その結果、原油価格が上昇するケースが少なくありません。
2.中国など新興国の動向
先進国の原油需要が伸び悩むなかで、中国は経済成長を背景に著しい伸びを見せています。産業用需要だけでなく、自動車販売台数の増加がガソリン消費を刺激しており、中国や他の新興国需要の伸びが原油価格を支える要因になります。
3.世界経済の動向
原油価格の行き過ぎた高騰は、あらゆる製品の価格を上昇させ、世界経済の停滞を招くため、消費を落ち込ませる要因になります。また、太陽エネルギーや電気自動車、更に代替エネルギーの開発を促し、結果的に原油需要を減少させる要因になります。
投機市場の動向
世界指標となるニューヨーク原油市場には、世界の石油業者や投機マネーが集まります。ファンドの動きが活発で、毎週CFTCから発表される建玉報告の注目度は高いといえます。
主材料の発表予定
材料 | 発表予定 | 発表機関 |
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CFTC建玉報告 | 毎週金曜日NY市場取引終了後 | CFTC |
API在庫発表 | 毎週火曜日引け後 | 全米石油協会 |
EIA在庫発表 | 毎週水曜日 | 米エネルギー省 |